今を生きるシャマニズム in メキシコ



ヤキ・インディアンの呪術師ドン・ファンに
未知の世界を学ぶというカルロス・カスタネダが著したシリーズ。
カリフォルニア大学の人類学者だった著者が、
自身のフィールドワークを下敷きに記した作品で、
1960年代後半から70年代のカウンターカルチャーに
影響を与えた世界的なロングセラーである。
架空の人物とも言われるドン・ファンだが、
今年5月、そのモデルとなったメディスンマンが健在し、
彼を中心に執り行われるセレモニーがあると知った。
本の記述によると、優に100歳を超えている彼に会うため、
私たちはメキシコに向かった。
真っ青な空、照りつける太陽、乾いた砂漠。
日本の風土とは異質なこの地域では、
どんな精神性が育まれ、
どんなシャマニズムが生きているのだろうか。


メキシコの歴史


古くはマヤ・アステカ文明など多くの古代文明が栄えたメキシコ。
1492年にコロンブスがアメリカ大陸に到達し、
1519年にスペイン人が到来。
激しい戦闘の末、1521年に当時のメキシコを支配していた
先住民のアステカ帝国は滅ぼされた。
その後、征服された先住民は壊滅的弾圧を受ける。
自然のあらゆるものを神と崇めるシャマニズムの信仰から
言語、伝承、慣習、社会秩序、美学、芸術、歴史まですべては否定され、
伝統を重んじたものは犯罪者として厳しい罰を与えられた。
先住民たちは、自分の土地に生きながら、
何世紀にも渡り、肉体と精神両方の苦しみを余儀なくされた。
1821年に独立したものの、今もなお、
社会のマイノリティである先住民への抑圧や差別は続いており、
彼らの貧困問題の克服が課題となっている。





夏至セレモニーの体験


 2012年6月21日から24日まで、
先述のドン・ファンのモデルとなったヤキ族の長老カチョーラ氏を中心に、
北中南米の様々な部族の先住民が集って夏至のセレモニーが開催された。
訪れたのは、アメリカとの国境に隣接する街ティカーテ。
街にあるリザベーション(先住民居住区)内の砂漠でセレモニーは行われた。
乾燥した赤土の岩山が広がるこの土地は、
ヤキ族と同じくアメリカとメキシコに跨がって暮らすクミアイ族が、
長年政府と戦い、守り続けてきた聖地だ。
カチョーラ氏のヴィジョンに賛同したクミアイ族の女性長老が、
儀式を行う場として提供しているそうだ。


 今回のセレモニーでは、
ヤキ、アステカ、ウイチョール、ラコタなど様々な部族のシャマンやダンサー、
そしてアメリカ、モンゴル、ブラジル、韓国、インド、フランス、日本など
多彩な国々から集った300人ほどが参加。
儀式を通して、肉体的・感情的・精神的な浄化をしてゆく。
私たちも期間中はテントで寝起きし、彼らの伝統に従い、
フルーツと水分以外は摂らない断食にもトライしてみた。


 ボォーー。
陽が昇る頃、法螺貝の音が聖地に響き渡る。
日の出の儀式が始まる合図だ。
儀式の場は、隣り合う2つのエリアで構成される。
ひとつはスウェット・ロッジと祭壇、聖火が灯された焚火のエリア、
もうひとつはダンスセレモニーのエリアである。
どちらも白く塗られた石を並べて聖域を囲み、
ダンスセレモニー側の中央には
天上と地上を結ぶシンボルである世界樹を植えた祭壇がある。
日の出の儀式は、焚火側で行う。
聖域に入る際には、必ずすべての人が香の煙で全身を清めてもらう。
そして、聖火にハーブを供え、祈りを唱える。
長老の主導で、東の山の稜線から顔を出した太陽の光を、両腕を上げて迎え、
生命を育む父なる太陽、母なる大地、四方向のスピリットを讃えて祈りの歌を合唱。
新たな一日のはじまりに感謝しながら朝日を全身に浴びる。
日の出を見るなんていつ以来だろう。


 肌を刺すような陽射しがジリジリと熱さを増してくる頃、
朝のスウェット・ロッジが始まった。
浄化と祈りの儀式で、参加者は死と再生を象徴的に体験するのだという。
大地の子宮を意味するドーム型のテントに女性、男性の順で入るのだが、
赤ん坊のハイハイのように腹這いで時計回りに進み、
土間の中央に掘られた浅い穴を中心に円を描いて座る。
床や天井にはセージが置かれており、
参加者が揃うと、真っ赤に焼かれた溶岩石が穴に運び込まれた。
そして入り口が閉じられて闇に包まれると、太鼓の音が聴こえはじめる。
焼石でコパールやハーブが焚かれ、祈りとともに水がかけられる。
テント内には一気に熱い蒸気が充満し、スチームサウナのような状態になる。
汗と一緒に体内の悪いものが流れ出るようだ。
儀式に使用される石、火、植物、水など
神聖なメディスンの力と見守りに訪れている霊の助けによって、
ここにいるすべての人が抱える悩みや問題は緩和され、
癒しが起こるのだと、スウェット・リーダーは説明する。
息苦しさと熱さで朦朧とし、頭の中の声は沈黙する。
ただ一心に祖先やあらゆるスピリットたちに祈りと歌を捧げていく。
フラフラとよろけながらも、満ち足りた気持ちでロッジを出た私たちは、
初対面の参加者たちと自然と抱き合っていた。
この儀式を終えた時、
母親の子宮から出てきた赤ん坊のように、生まれ変わると聞いていた。
聖地のハーブが浸された水槽に向かい、汗と泥まみれの身体を流す。
しばらくの間、私たちは、再生したような軽さと清々しい開放感に浸っていた。
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 ボゥーー、ボゥーー。
陽が高くなり、法螺貝の音でダンスセレモニーが始まった。
基本的に男女とも正装の白い服に着替え、女性はスカートを着る。
スカートは、母なる大地とつながる子宮の風通しを良くし、
女性性を高めるとされている。
最初に披露されたラコタ族のダンスは、
数十人が四方向のスピリットに祈りを捧げながら、
祭壇を中心に円を描いて踊るのだが、
その光景はどこか盆踊りを彷彿とさせる。
容赦ない炎天下、ダンサーたちは手をつなぎ、肩を組み、
祈りをひとつにつなげ祭壇に集まる。
中にはトランスに入る者もいる。
ラストは直径80cmほどの大ドラムを叩いている数人の歌い手を
踊り手たちが囲み、全員で祈りの歌を合唱。
規則的に刻まれるドラムのビートに、
まるで大地の鼓動と同調していくようだ。

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 続いて広場に出てきたのは、
黒と赤の衣装、顔に鮮やかなペインティングをほどこしたアステカ・ダンサーたち。
彼らは自分たちのことをメシカ・ダンサーだという。
スペイン人が征服しに来た時すでにアステカからメシカへと国名を変えていたが、
スペイン人がメシカを発音できず、
間違った発音のメヒコ(英語読みでメキシコ)が定着したそうだ。
スピード感のあるパワフルな踊りだが、裸足の人も多い。
後で足裏を見せてもらうと、
焼けつく砂漠の砂利で火傷を繰り返した皮はコブのように固い。
彼らにとってダンスは祈りと瞑想。
動きのひとつひとつに生命を構成する地、水、火、風(空気)の四要素の意味があるのだ。
踊りによって体内のエネルギーを螺旋状に活性化させ、
最高潮に高まったところで天へと飛ばし、
落ちてきたエネルギーを受けて大地に流すのだという。

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 最後はヤキ族の「鹿の踊り」。
狩猟民族であるヤキ族が鹿狩りに際して舞う神聖な踊りで、
コヨーテと狩人に狙われた鹿の生と死のせめぎあいを、
剥製の鹿の頭を頭上に乗せた一人の踊り手が、マラカスを手に踊る。
循環する生命を表現し、同時に最も強い魂を持つ動物とされる
鹿のスピリットを讃えているそうだ。
日本をはじめ世界中でも鹿踊の伝統がみられるが、
生命を支えてくれる生き物たちへの
古の人々の感謝や敬意というのはどこも同じなのだろう。


 太陽が山に沈むと夜のスウェット・ロッジに参加する。
儀式を終えて小屋の外に出てみると、
満天の星が夜空を覆い、天の川の雄大な流れが浮かんでいる。
砂漠の夜はグンと冷え込むので、
水浴び後の焚火のあたたかさと光が何よりありがたい。
 これらの儀式は4日間、繰り返し行われた。
セレモニーの最後、偶然にも4日間を共にした、
ある意味、戦友ともいえるような仲間たちと抱き合い、
セレモニーを無事にやりきった喜びを分かち合った。
中には目に涙を浮かべている人も。


 断食をしてみて、正直2日目はきつかった。
しかし日を重ねるごとに体はどんどん楽になり、
意識もクリアになっていくようだった。
スウェット・ロッジやダンス後に喉を潤してくれる水、
断食中の果実の美味しさ、寒い闇夜に灯る火の明かり、
人々との素朴であたたかい心の交流。
私たちが生きていくのに本当に必要なものは何なのか?
たった数日の個人的体験ではあるが、
生を支えてくれるすべてのものへのありがたさを、
とてもシンプルに感じ取ることができた。
自然万物に霊が宿るというアニミズム、
そして日常として霊たちと今を生きるシャマニズムを身をもって体験する中から、
こうした人生の原点に立ち返る伝統文化や精神性を継承していくことの
意味の大きさも改めて実感する旅となった。
 セレモニー中、会場内の撮影が禁止されていた為、
その模様を十分にお見せできないのが残念だ。
先住民の中には写真に撮られることを嫌う人も多い。
魂が抜けるからという話もあるが、
何よりも先住民の伝統に敬意を払わない部外者が、
これまで彼らの知的財産を侵害し、
金もうけの手段にしてきたという問題も根底にあるようだ。
 愛煙家のみなさんのために、タバコの話を紹介したい。
アメリカ大陸原産のタバコは、
初めてアメリカ先住民に与えられた神聖なメディスンだそうだ。
「煙」は世界中のシャマニズムで霊的な世界との交わりに使用されることが多く、
タバコの煙もまた天の扉をひらく鍵とされている。
パイプの儀式での吸い方には大切な意味がある。

1、母なる大地に、
2、父なる天に、
3、女性の祖先に、
4、男性の祖先に、
そして最後は、自分自身に、

という順に祈りながら煙を吐くのだ。
ここでは、タバコは嗜好品ではなく、大地やスピリットたちへの捧げもの、
さらに大いなる存在と対話するための聖なる道具。
是非、感謝と祈りを込めて、タバコと付き合われてみてはいかがだろう。



ドン・ファンは語る


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 セレモニー中も儀式全体を見守り続けたカチョーラ氏。
威厳に満ち、どこか近寄り難い雰囲気が漂っていた。
セレモニー終了後、お話を訊くために、
私たちはティカーテの街外れにある
聖山・ブルー・マウンテンの麓に佇む自宅を訪ねた。
ピラミッド型の家やスウェット・ロッジ、
まわりを囲む広い庭にはカチョーラ・メディスンと呼ばれる
数えきれない種類の薬草や木々、
ヴィジョンを得るために使われるサボテンが生い茂る。
カチョーラ氏は庭の木陰で、気持ち良さそうに座っている。
そばにある小枝や葉っぱを、ゆっくり、ゆっくり撫でるしぐさは、
まさに植物と対話をするメディスンマン。
白髪の長い髪をひとつにまとめ、
皺が刻まれた顔の素敵な微笑みには、生気が満ちている。
やさしく澄んだチャイムが響き渡る中、お話を伺った。


Bookclubkai(以下、B):実際にお目にかかり、もうすぐ100歳を迎えられるとは、
とても信じられません!


カチョーラ氏(以下、K):私はいつでもエネルギーが満タンですので、
常に喜びにあふれています(笑)。
人はまず自分自身のエネルギーを満タンにすることが大切です。
いま98歳ですけども、病院からもらった薬は一切飲んだことがありません。
何事もいつも柔軟に考えて、気持ちを落ちつかせ、
前向きに取り組むことをこころがけています。
本当にすべてが健康体です。
山であれ、丘であれ、どこへでも歩いていけますよ。
例えば3カ月の巡礼に出て、祈りを捧げ、瞑想をすることもあります。
そしてあちこちで暮らしている兄妹姉妹に会いにゆきます。
5人の妻と45人の子どもがいるので、
彼らのケアをしていますが、疲れることはありません。
コーヒーは、場合によっては、メディスンにもなりますが、
アルコールや化学的薬物などは身体にとって、
人類にとってまったく良いものではありません。


 先住民の人々は、体質的にアルコール成分を分解することが困難で、
近年はアルコール中毒者の増加が問題になっている。
日本では、神事と酒は切っても切れない関係にあり、
適度のお酒なら身体に良いと言われている。
人種によって異なる体質の違いが、
神聖な食べ物に大きく影響しているのかもしれない。


B:今回の夏至のセレモニーの目的を教えてください。


K:扉を閉じるのではなく、開いていくということがとても大切です。
メキシコの国境もそうですね。
国境を閉じるのではなく、開いていくということが基本的に大事なのです。
今回のようなセレモニーは、扉を開いた状態に保つことができるのです。
そこにはなんの秘密があるわけでもありません。
若い人も、年老いた人も、祖先のスピリットさえも、
みんながそこに集うことができるのです。
「扉を開いたものにすること」が、祖先から代々続く目的なので、
外国の方々も受け入れます。
世界中のために、私は精神的な道を歩むということがとても大事だと感じています。


 メキシコとアメリカの国境というのは、
アメリカからは容易く入国できる一方、
麻薬や不法移民の問題もあり、
メキシコからアメリカへの入国は大変厳重なことで有名だ。
先住民へのチェックは特に厳しいようで、
シャマンたちの衣装についた羽や儀式の道具が
没収されてしまうこともあるそうだ。


B:長い間中断されていたセレモニーを、カチョーラさんが復活されたそうですね?


K:20年以上前のことです。
セレモニーを行った土地は、
大昔からたくさんのエネルギーが集まるとても神聖な場所です。
しかし、どのくらい中断されていたのかわかりませんけども、
当時はまったく何もない、死んだ状態でした。
それを取り戻したのです。
そこにはおじいさんから孫へと、
世代から世代へと受け継がれきた伝統的な踊りがあります。
それを皆さんと分かち合いたいというのがひとつの思いです。
去年2011年、大きな隕石がこの庭とセレモニーを行う聖地の2か所に落ちました。
そこにはガラスが溶けたような隕石のかけらが散っていました。
隕石が落ちたことによって、ここの場が開いたと、私は強く感じました。


B:なるほど、今年は特別な意味を含んでいたということですね。
さて、シャマンの道についてお伺いします。
力のあるシャマンになる条件とは何でしょうか?


K:ひとつのものとしてすべての生きとし生けるものが
お互いにつながっているという「生命の樹」、
そして植物や樹々に宿る神聖さや力を理解することが非常に大事です。
植物に宿るスピリットは私たちに話しかけ、秘密を分かち合ってくれています。
シャマンというのは真実を知り、
母なる大地や自然界とのつながりについてきちんと理解するために、
瞑想し、山に登っていくことが必要です。
山の精霊や植物に話しかけるのです。
愛とともに母なる大地を守りながら歩いていくことで、
大地の汚染や破壊はなくなるのです。
私たちは今、第5の太陽の時代(※注1)に生きていますが、
私には破壊と汚染が世界に充満しているのが見えます。
海底の土すらも汚染されています。
そして海底プレートが沈むことで考えられないほど巨大な波が襲い、
おそらくすべての人を同時に流し去っていくでしょう。
そこには言い訳もなにも存在しません。
世界中の人々が祈りを捧げないからなのでしょう。
 私は人を助けているわけではなく、
「植物とともにいかに生きるべきか」を教えているだけなのです。
もし、そうした私の叡智や経験を病気の方たちと分かち合わなかった場合、
この世界で植物たちとともに生きるための扉が開かないのです。
彼らに命を与えるために扉を開けることが私の役目です。
シャマンというのは、一歩ずつ地道に修行を積んでいかなければいけません。
最低でも7年間、植物についてきちんと学ぶことが大事です。
瞑想し、祈り、少しずつ成長していくのです。
そして歩いていきます。
例えば丘や山などを登ったときには、
怪我や何か問題を抱えた動物がいるかもしれません。
そのときには近くにあった植物を使い、
彼らを癒しながらひとつひとつ学んでいきます。
そしてすべての人類も同じように癒していきます。
そうやって私は母なる自然、花や植物を学んできたのです。
シャマンとして私は、霊的な世界の存在と同時に植物の力を使い、
両方で癒しを与えていきます。
メディスンとなる何千もの植物を使い分け、
植物の力を使って肉体と魂を癒していきます。


B:汚染のお話が出ましたが、
現代の環境破壊についてどのように感じていますか?


K:シャマンの道には4つの大事な要素があります。
地・水・火・風です。
なぜ大地が泣いているのかというと、
人々が母なる大地を大事に扱っていないからです。
なぜ水が怒るのか。
それは人々が汚染をしてきたからです。
風、すなわち空気の中で起こっている汚染が、
私たちの肺に悪影響を与えます。
工場や都市によってすべてが汚染されています。
その結果、植物や動物が育たないような形で実際に害を受けています。
ですから私たちがどのような思いを持つのかということが非常に大切になってきます。
あなたの街や都市も、放射能による汚染で非常に危険な状態にあると思います。
サンディエゴでも過去に放射能漏れがあり、
私たちも同じ様な問題を抱えています。

「多大な危険がやってくる。火山が扉をひらき、
地震が起こり、二つの彗星が再び地球にやってくる。
世界中で大規模な竜巻が起こり、海底プレートが沈む。
そして星が日中に見えるようになる」。

私の母から伝えられた預言です。
なぜかというと第5の太陽の時代が終わろうとしているからなのです。
ここには非常に危険なサンアンドレアス断層があり、
火山のあるバハカリフォルニア地域にはセロプリエト断層があります。
それはすでに煙を上げはじめており、
おそらく開く準備が整い、危険な状態にあると感じます。
子どもたちに何を伝え、何を残すことができるでしょう? 
緑に囲まれた場所ですか、それとも何もない汚染された場所でしょうか? 
いま世界ではアンバランスなことが起きています。
ある場所では非常にたくさんの水に覆われ、
別の場所では川や湧き水など自然の水が乾ききった状態にあります。
それが母なる地球の現状です。
祖先たちがこれまで4つの太陽の時代を生き抜き、
私たちは今、第5の太陽の時代にいますが、
現代は水の要素が深刻な病気の状態で、降る雨も病んでいます。
未来を担う若い世代の人たちにとっては、
まだメディスンマンやシャマンや長老の存在がそばにいます。
この若い世代の人たちが、
祈りを捧げず、母なる大地を助けなかったとき、
すべてが終わってしまうでしょう。
母なる大地をずっと守っていくには、
あなた自身が立ち上がり、そして行動を起こしていくことが大切なのです。
若い世代の人たちのために
母なる大地を汚染から守ること、それがあなたの役割ですよ。


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B:ドン・ファンのモデルとしても知られていますが、
カスタネダの著作について想いを教えてください。


K:1958年頃から1968年までの10年間は
オリジナルの元々のものですが、
それ以降のものに関しては、カルロス・カスタネダが狂ってしまい、
意識がおかしな方向にいってしまったので、
まともなことは書かれていません。
私は彼を支え、助けようとしたのですが、
彼は自分がオアハカの渓谷(2010年世界遺産に登録)を
飛べるのではないかというぐらいの思いになってしまったのですね。
そして彼の行いで一番悪かったことは、
ドン・ファンという架空の存在をそこに立ち上げ、
私カチョーラのことをまったく説明せず、本の中で何も伝えていないのです。
彼はそのようにして多額なお金を手にしました。
彼の精神、魂はお金によって奪われてしまったのです。
ですから私は「自分ひとりでお行きなさい」と彼に言いました。
いま私は本を書いています。
300ページくらいになる予定で、
誕生から今までの私の歩みを書きとめた自伝です。
もう一冊、別の本があるのですが、
それはすべてハーブに関する内容で250ページほどです。
人々にハーブのことをきちんと知ってもらいたいと思い、
毎ページに27種類のハーブを解説し、
約7000種類のハーブについて書いています。


B:それは日本語に訳される予定はあるのでしょうか?


K:可能性はあるかもしれないですね(笑)。


B:楽しみにしています。ありがとうございました。



 取材を終えた私たちは、
家に勢揃いしていたカチョーラ氏の子どもや孫たち、
そして世界中から彼のもとに訪れた弟子たちと、
ひとときの再会を喜び、語り合った。
弟子たちは、カチョーラ氏のもとで
数度のヴィジョン・クエストを体験し、
「RED PATH」と呼ばれる先住民たちに伝わる心のある道を学んでいるという。
何千もの部族が暮らすアメリカ大陸では、
昔から部族間の戦争が絶えなかった。
しかし、カチョーラ氏のヴィジョンにあったように、
いま新しい時代に向けて分離から調和へと
アイデンティティーを分かちあう方向に進んでいるようだ。
その流れを象徴するのが、今回のセレモニーで入手したあるニュース。
なんと北中南米の先住民たちに伝わる「鷲とコンドルの預言」に基づき、
今年11月アメリカ大陸中に散らばる部族がグァテマラに集い、
厳かなセレモニーが初めて行われるという。
この儀式を実現するために、これまで北中南米の様々な部族が、
それぞれの場所でセレモニーを開催してきた。
マヤの長老は1985年頃から行ってきたという話も聞く。
この試みは、どれだけ世界に影響をあたえ、
どんな未来に向かっていくのだろうか?


 断食では飢えを、
スウェット・ロッジでは息もたえだえの呼吸困難を体験した。
それは、ある意味、死の体験にも似た極限状態だ。
そこから抜け出た世界から見えたものは何かといえば、
水の大切さ、自分が呼吸している空気、樹々や山、
日の光の美しさというとてもシンプルなことだった。
 今、世界中のシャマンたちが地球の未来を警告しているが、
地球の滅亡を意味する極限状態に陥らないと、
人間は本当に理解することはできないのだろうか? 
だとしたら悲しい。
しかしながら、きっと私たちの誰もが、
シャマンとしての感覚は持っているはずだ。
一人ひとりがシャマンとしての感覚を研ぎ澄ますことが、
今、必要とされているのではないだろうか。



【用語解説】
※注1:第5の太陽の時代アステカの創世神話では、
これまで四つの太陽の時代を人間は生きてきたと信じられている。
「四の土(ジャガー)の太陽」「四の風の太陽」「四の雨の太陽」「四の水の太陽」で、
それぞれジャガー、風、火の雨、洪水によって世界は滅び、
現代は「四の動き(地震)の太陽」の第五の太陽の時代と言われている。





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