輪廻を俯瞰する

- interview with ブライアン・L・ワイス -

輪廻を俯瞰する
20-30年前、大きな関心を集めていた前世療法。
今、アメリカで、前世療法による治療が、再び広がりをみせている。
「私」とは何かを考える時、人との関係性を理解したい時、
前世の存在は、また違ったものさしを与えてくれるが、
前世というテーマは、予想以上に困難で、
そう簡単にこの絡まりが解かれるというわけにはいかない面も存在する。
今回、インタビューに取り上げたのは、
輪廻転生を人々に教えるパイオニアの一人、ブライアン・L・ワイス博士。
医師という立場を超えて活躍する、全米きっての精神科医に、
前世療法についてのさまざまな質問を試みました。


ブライアン・L・ワイス Brian L. Weiss


精神科医。1966年コロンビア大学を卒業後、
エール大学医学部で医学博士号を取得。
米国フロリダ州マイアミビーチにあるシナイ山医療センターの精神科部長と
マイアミ大学医学精神科の教授を務める。
現在は、マイアミにワイス研究所を設立し、患者の治療、さらには国内外での講演、
セミナー、ワークショップなど精力的に活動。
著書には、『前世療法』『魂の伴侶』『未来世療法』
『奇跡が起こる前世療法』(全てPHP研究所刊)ほか多数。

公式サイト:The Weiss Institute
http://www.brianweiss.com/







B:最近のニューヨーク・タイムズ紙は、 「今、アメリカでも前世療法が広がってきている。 宗教への関心が薄れてきている反面、 生まれ変わることを信じるアメリカ人は増えている」と、伝えています。 興味深い現象ですが、ワイス博士はどうしてだとお考えですか? 前世療法はメディアによってもてはやされるようになりました。 テレビ番組、映画、本、新聞や雑誌の記事によって、 前世療法と輪廻転生のコンセプトは描かれ、記録されています。 宗教への関心が減ってはきていますが、 アメリカ人はより精神的な道を歩み始めているのです。 彼らは人生に意味と目的をみいだそうとしています。 この現象は私にも大きな励ましとなっています。


B:前世療法を体験して、患者の過去生に光を当てると、 精神治療においては、カウンセリングやセラピーだけの場合よりも、 飛躍的に症状が改善することがあります。 なぜ、前世療法は、これほど人に多大な影響をもたらし、 深く癒すとお考えでしょうか? 前世療法が、他の様々な精神療法よりも優れているというのではなく、 前世療法は癒しのプロセスに力強く働きかける一面をもっているのです。 患者が抱えている多くの症状は、過去の人生に由来しています。 これらの症状を癒すには、前世をかえりみることが必要だと私は考えています。 0087a


B:今世において、悩みがない人、問題を抱えていない人も前世療法を受けることがあります。 そういう人は前世療法で何を得ることができますか? 何の症状がない人でも、前世療法によって得ることは多くあります。 人は決して死ぬことがない、 肉体が死んだ後も魂は生き続けるということを学ぶでしょう。 その体験によって、死や死ぬことへの恐怖から解放されるのです。 また、スピリチュアルな質に触れ、理解することにより、 人の価値観が高まります。 これは、様々なレベルにおいて重要なことです。


B:説明がつかない懐かしさや、恐怖感などの奇妙な感情、 繰り返し見る夢などは、前世と関係があると言われています。 これらの記憶の深層に、どのように向き合えばよいのですか? 夢は前世の記憶を含んでいます。 隠喩的だったり、象徴的だったり、 もしくは、それらが織りあったものだったりします。 多くは学ぶべき重要なメッセージを伝えています。 難しいのは、その夢が自分にとってどんな意味があるのかを解釈することです。 夢の中に、時々、前世を示す多くのヒントがあります。 説明がつかない恐怖感も前世に根源があると考えられます。 私たちが最も恐れることは、 しばしば前世で、すでに起きてしまっているのですよ。


B:前世療法で、自分や前世の死の場面を見ることがあります。 死を見ることは、どのような意味がありますか? 今世で実際に臨死体験をした人々の得られる効果と似ていますか。 臨死体験によく似ているのですが、同じ体に戻ってくるのではなく、 魂は赤ちゃんの体へと生まり変わります。 先ほど話した死を越えるという意味でも、 この2つの体験の効果はよく似ていると言えるでしょう。 ベースにあると思います。


B:療法中には、先祖の霊や、見たことのない人物、 あるいは、光を見たりするとありますが、それらの意味は何でしょうか? また療法後、それはどのような影響を及ぼすと思われますか? 療法中の患者は、前世の記憶に加え、様々なスピリチュアルな体験をします。 前世で死を体験した人は、しばしば、美しい光や、親族、愛する人、 もしくは霊なる存在に迎え入れられたと報告しています。 これらの体験もまた大切なもので、 それにより、患者はみずからの人生の展望を高め、 より優れた価値観を養っていくのです。


B: 人によって現れるイメージは様々ですが、 博士がマスターと呼んでいる霊的な存在について教えてください。 すべての霊的世界は、私たちをスピリチュアルな道へ導く手伝いをしてくれる 智慧をもつ存在でおおわれています。 マスタースピリットは、この霊的世界に居住する 高度に進化した、非肉体的な存在たちの一部です。


B: 人たとえば前世療法で、この人とは今までの過去生において10回逢っている、 とか、また別の人とは20回逢っているだとか、 この回数には意味があるのでしょうか?  そして、今生までに何回生まれ変わってきたのか、 という魂の年齢は、人によって違うと思いますが、 1歳の人と、100歳の人とでは、違いがあるのですか? 私たちは、同じ魂を持って生まれ変わることが度々あります。 そうすることによって、物質的な世界で物事を学んでいくのです。 すべての魂は、つながっています。 ソウルメイト(魂の伴侶)やソウルファミリー(魂の家族)は 何度も一緒に生まれ変わった人々で構成されています。 私の研究では、魂は永遠なるものだということがわかっています。 年齢はありません。 私たちはすべて、何百年、さらには何千年という人生を生き続けているのです。 何回いっしょに生まれ変わったとか、 魂の年齢というものは、大切なことではないのです。


B: 今世のパートナーや親子、夫婦や友人などの人間関係に 前世に起因する問題あったとします。 一人は前世療法によって問題の根本を理解し、回復へ向かったとして、 療法を受けていないもう一方の人が置き去りにされてしまうようなことはないのでしょうか?  もしあるとすれば、過去生を思い出した人は、 相手にどのようなアプローチをしていくのが良いと思われますか? 前世療法は、人との対応にも、 理解力のある、前向きな変化をもたらします。 それはまた、そうした対応を受ける側にも変化をもたらします。 療法を経験している人は、相手にも同じような理解や変化をもたらすために、 どのようにアプローチしていけばいいのかわかるようになります。


B: 前世療法によって癒しを体験した人々に、 共通してみられるような意識の変容はありますか?  療法を受ける以前の「自分」と違う「何」を得ているのでしょう。 様々な形の変容がみられます。 肉体的、感情的な症状が癒されるでしょう。 人間関係が改善されるでしょう。 また、魂は不死で、永遠であること、 本当に死ぬということはありえないこと、 そして、私たちは、愛に向けてに常に進化していることを理解します。


B: 愛という概念について、様々な人が様々な表現をしています。 ワイス博士は、どんなものだと感じていますか? 愛には様々な形があります。 無条件の愛こそが、肉体的、および、精神的世界の 基本的エネルギーであると、私は思います。 愛は絶対的なものです。 愛に終わりはありません。 愛は、あらゆるものが形成されることから生み出されるエネルギーです。 0087a


B: 前世療法が誤った解釈や違った認識(誤解)をされることに対してどう思われますか? 多くの人は前世療法が実際に何であるのかを理解していません。 いったん、体験し、過程や詳細を知ると、態度はしばしば一変します。 普通、誤った認識というのは恐怖や知識の欠如からきています。


B: 博士の前世療法は、技術だけでなく、 博士ご自身の人間性、霊的資質が治療の助けになっていると思います。 博士は、いつもどのような姿勢で治療に臨んでおられるのですか? 情をもって接すること、辛抱強くいることをいつも大切にしています。 また、どんな患者でも、決めつけてかからない態度で接します。 私たちは皆、同じスピリチュアルな道をたどる魂だということを忘れないようにしています。


B: ワイス博士の主体的な前世療法とは異なり、 ある人が他人の前世を見て、 「あなたの前世はこうです」と断言する受動的なものもあります。 そういった前世を知る方法についてどう感じられますか? 心霊学者や占星家はときどき人の前世について語ります。 しかし、それは、実際に自分で思い出したり、 体験したりすることと比べ、癒す力に劣ります。 前世について他人に教えてもらうだけでは、症状は改善しません。 体験することによって癒されるのです。


B: 「前世を記憶する子どもたち」がときどき存在しますが、 どんなことを経験した者が前世を記憶するのでしょうか?  また、ほとんどの子どもたちが5-8才で記憶を失うのはなぜだと思われますか? 子供たちはしばしば自分の前世を自発的に思い出します。 退行させる必要もありません。 子どもたちによる前世の記憶の多くは、研究者によって証明されています。 このような記憶は子どもたちが学校へ行く年頃になると、 なくなっていき、完全に消えてしまうこともあります。 社会へ入っていくという体験が、 記憶を消してしまうことに大きく起因しているのかもしれません。


B: ご著書『前世療法』で、今世の恋人との関係に問題を抱えているのに、 彼に強く惹かれてしまうことに疑問を持ったキャサリンが、 ある前世で、彼に殺されたことを知りました。 彼女は、殺された記憶の恐怖を、今世では愛情と勘違いしてしまい、 彼にどんな態度をとられようとも、 惹かれてしまうという現象が起きた、と書かれていましたが、 そのような前世と今世で「逆縁」のような関係性について、 ワイス博士はどのようにお考えになられるでしょうか?  うまくいくということだけが正しいのではなくて、 別れることが正しいということもあるのですか? キャサリンの恐怖が愛情になったのではありません。 彼らは何度もいっしょの前世をおくってきたのです。 そのうちのいくつかはかなり良い関係でした。 彼女が彼に惹かれるのは、何度も送った前世を通じて得た彼への理解、 そして、親しみでした。 今世で、虐待や危害があるのであれば別れることは必要ですし、 最新の心理学を前世療法に応用すると良いかもしれません。 しかし、良い関係であれば終わりにする必要はありません。


B: 視点を変えた質問をします。 世界に目を向けると、宗教は分裂し、 自らの神だけを信じ、争いつづけている人々がいます。 一方で、人間がつくりだした多種多様な「神」は、 一なる超越した存在の異なった現れだということを訴える人々もいます。 宗教の役割、そして可能性について、「神」という概念について、 ワイス博士ご自身が感じられていることを教えてください。 私の考えでは、すべての宗教はひとつの真理へ到達する手段です。 すべてが愛と哀れみの重要性を強調しています。 おのれの宗教的伝統にとどまっているべきだというダライ・ラマに、私は賛同します。 慣れ親しんだ宗教であり、 結局はすべてが同じ真実へと導いてくれるのですから。


B: 禅には「未生以前(みしょういぜん)」という言葉があります。 自分の両親が生まれる以前の自分とは 何であったのかを考えさせる考案なのですが、 「生まれ生まれ生まれ生まれて生の始めに暗く、 死に死に死に死んで死の終わりに冥し」という空海の言葉もあるように、 人は何度も生まれては死ぬことをくり返しているという考えが、 古今東西さまざまな文化に伝わっているようです。 どうして輪廻転生の考えが文化の違った世界中の人の心をひきつけるのでしょうか?  また、一般的にキリスト教、イスラム教を信仰する人々に、 前世はどのようにとらえられているのでしょうか。 そういう人が前世療法を受けた場合、 「神」や「宗教」の捉え方に、変化はあるのでしょうか。 輪廻転生は、信じる信じないではなく、 経験に基づいた普遍概念です。 あらゆる宗教的伝統を持った人々が輪廻転生的な記憶を体験しています。 彼らはこの概念の現実性を知っています。 私たちは皆、何度も生まれ変わってきたので、 この概念に共鳴できるのです。 私たちは、それが真実だと知っています。 様々な宗教を信じる人々が、 前世療法のことで私のもとに診察を求めにやってきます。 すべての主流の宗教には、輪廻転生を信じる長い歴史があります。 興味深いことに、前世療法によって得られる結果は、 患者が信じる宗教とは、まったく関係がないようです。 療法を体験することに心を開いていれば、 患者がどのような信念を抱いていようが関係なく、 助けを得られる可能性は高いのです。 0087a


B: 数えきれないほどの人々をガイドされていると思います。 人はなぜこの世に何度も生まれ変わってくるのだと感じていますか?  現時点で輪廻転生の果てを、どんな風に想像されていますか。 地球はまるで大きな学校です。 私はこのコンセプトを私の新しい本、 『Miracles Happen: The Transformational Healing Power ofPast-Life Memories 』 『奇跡が起こる前世療法(PHP研究所)』の中でも克明に探っています。 ひとつやふたつの人生ですべての精神的なレッスンを学ぶのは難しい。 この人生学校から卒業するにはもっと多くの経験が必要です。 輪廻転生の終わりとは、私たちがすべてのレッスンを学んでしまったときです。


B: 未来は、決まっているものでなく、 変えてゆくものだとご著書で言われています。 博士ご自身は、どんな未来をつくりだしたいと思っていらっしゃいますか。 多くの起こりうる未来があると理解しています。 人類が力を合わせた決断と行動によって、 どの未来に進むかは決定されるでしょう。 私は、最も平和な未来が実現されるように、 非暴力と互いへの慈愛の概念を教えようと試みています。


B: どうもありがとうございました。



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