響きあう治癒力

- interview with ナゴンビリグ -

人は誰もが病になる可能性をもっています。
それは、その人が生きてきた証でもあり、履歴です。
自分らしく生きたのであれば、
周囲は尊重するべきなのかもしれません。
病と向きあう時、病を癒す力を最大限に引き出してくれる先生が
中国・内モンゴルにいるとききました。
患者に映像をみせて難病を治療し、
国連がその効果を認めているという
ナゴンビリグ先生にお話を伺いました。


ナゴンビリグ


1964年生まれ、内モンゴル・オルドス市オトク南旗出身。
モンゴル医学心理学修士、臨床心理学主任医師、
心理学カウンセラーとして精力的に活動。
現在は内モンゴル国際モンゴル医学病院心身医学科主任を務める傍ら、
世界漢方医学心理学学会常任理事、
中国民族衛生協会心理学専門家委員会副主任委員、
中国民族医学薬学学会モンゴル医学会理事、
内モンゴル心理カウンセラー協会副会長などの役職を兼任。
『保険医学の基礎』『モンゴル医学心身健康学概論』
『新概念医学健康教育講座』『健康の友』
『世紀健康の歌―音楽心理治療DVD』の5つの著作を出版し、
『国際漢方医学薬学』『中国モンゴル医学』などの雑誌で、
多数の論文を発表している。
「全国中国医学(漢方医薬)文化建設先進個人」賞、
内モンゴル自治区「草原の英才」など数々の賞を受賞。








B:患者に観せる映像はどのような内容ですか? 私の治療は授業と呼ばれ、病が治癒するまでの経過を、 患者本人に大勢の前で語らせ、 それに対する私の解説という構成になっています。 しかし経験によって、治療(授業)を映像として患者に見せても ほぼ同じ治療効果が得られることに気づきました。 授業の特徴は、インタラクティブ(互いに影響しあう)療法ですね。 中国人は日本人のようにオープンではなく、保守的なので、 「心理療法」と言えば、受け入れられません。 だから、私は健康教育と言っています。 映像を見たと思いますが、重症患者ばかりでしょう?  彼らは、数々の病院を転々とし、 苦しみ、失望し、自信を失いました。 まず、自信をもたせることが非常に重要です。 では、どのようにするかというと、 重症患者が治癒した経過を語る姿や、 その映像を見ると自信が生まれ、 さらに私の心理的な療法を用いた解説が、 気持ちを自然と安らぎの状態に導きます。


B:日本では、瞑想や座禅といった方法を試す人もいます。 瞑想や座禅は一筋縄ではいきません。 集中しようと思えば思うほど、雑念が入ります。 気功も同様です。 静寂な状態に、そうそう簡単には入れません。 効果を実感するのは、5年かかるほど難易度が高いです。 もちろん境地に到達すると、その効果は計り知れませんが、 100人に1人できるかどうかではないでしょうか。 私は、初めにモンゴル医学を学びましたが、 宗教的な家系に育てられたことが大きいと思います。 伯父は名の知れた宗教家で、世界的に有名なカトリック信者です。 今年で94歳になりますが、4つの言語を操り、 知識が非常に深く、宗教についてよく語ります。 私は、姉1人、男兄弟8人の末っ子で、 伯父は私を後継者にしようと決めて、 幼い頃からいろいろ教えてくれました。 「魂というのは、学校の物理学や化学で学ぶ エネルギーのように存在している」 という叔父の言葉は、その通りだと思います。 宗教は、中国人の言葉を借りれば、「万法帰宗」です。 すべての宗教信仰は、実は基本が同じです。 ただ見方によって違っているように見えるだけです。 たとえば、Aという人間を宗教に喩えてみましょう。 他人がAを前からみるか、後ろからみるか、横から見るかによって、 その上性格の感じ方によっても描き方が異なります。 実際は、Aをそれぞれ前、後、横から見た3人は すべてAという人間、すなわち宗教をみました。 それによって、異なる宗教が生れたと思います。 だから宗教には、それぞれの特徴があります。 カトリックは、人の魂を救います。 すなわち心を修めることです。 仏教は、養生することを重点においていると思います。 そして道教は、レジャーを愉しんでのんびりすることですが、 これも実は、心身を修めることです。 孔子の教えもそうです。要するに、宗教というのは、 心身を修めることを教えています。 これは幼少時代の私の宗教に対する理解です。 かつては学校の教育も社会も、 宗教と迷信を同等化していました。 でも実は、宗教と迷信は別々なものです。 科学的に説明できない場合は、 多くの人がそれを迷信とみなします。 私は教育を受けた人間ですので、 どの宗教も信じますが、傾倒しません。 形式的なことではなく、人や物事に心を込めて接します。 仏のような心を持てば、仏のようになります。 信仰とは心を込めることが大事です。 心より仏に拝み、仏のように物事をすれば、すなわち仏です。 こちらで仏に拝み、そちらで窃盗事件を犯す、 あるいは人をいじめることをやれば、 その拝みが何の意味も持たなくなります。 モンゴル医学は、宗教と密接な関係があります。 シャマニズム医術を起源とし、 インドとチベット医学の影響もあります。 大学を卒業し医者となった後、 私はさまざまな困難に直面しました。 それは、現代医学で治せない病が多くあるということでした。 その時、治療における、心理学の力の大きさに気づきました。 実は宗教の多くは、心理学の内容と重なります。 1986年頃は気功が流行っていて、最初は私も夢中でしたが、 よくよく見ると気功を構成する85%が心理学の内容と気づきました。 そして14%は養生。 残り1%は神秘主義的な内容ですが、 それについては、私には解釈できないので 詳しく語るのはやめましょう。 このように私は、心理学を研究して今に至っています。


B:先生の生まれ育った環境について教えてください。 父親は軍人で文化大革命の直前まで服役していました。 祖父の時代、我が家はその地域一の裕福な家庭でしたが、 文化大革命が起こり財産はすべて没収されました。 それによって生活が一挙に貧しくなり、天から地に落ちました。 いじめも受けました。 しかし、これらの苦しみを1つの試練と思っています。 その中から学んだことは多くあります。 『西遊記』は1つの真理を語っています。 仏も数多くの試練を受けています。 親の教育は厳しかったですね。 人間としてどうあるべきか、 人とどう接するかを教えてくれました。 大人になって医者になった後、 患者にどう接するかについては、 幼い時から受けた親の影響がベースにあります。


B:なぜ医者になろうと思われましたか。 文化大革命で家族が絶望の淵にいた時、 母親は集団労働をさせられ、ダムを作る作業に参加しました。 毎日水に浸かっていたため、乾癬という皮膚疾患に罹り、 体中の皮膚に正常なところは無い程でした。 私は母親に薬を塗ってあげていました。 子どもだった私も栄養不足が原因で、 2つの病気にかかりました。 1つは黄疸型肝炎で、 いくら西洋医学の治療を受けても治りませんでしたが モンゴル医学の医者の薬を飲み始めると完治しました。 もう1つは肺炎です。 これもモンゴル医学の治療で治りました。 これがきっかけでモンゴル医学を学ぶことを志し、 高校を卒業したとき、進学出願に「モンゴル医学」と記入しました。


B:苦しみや悩みをマイナスに捉えずに、 1つの試練とみなしたということですね。 そうです。 それを正しく理解する必要があると思います。 人間として社会にどう貢献すべきか、 どうすれば治療がもっと効果的になるか、 患者にどう接するかをさらに深く考えた時期がありました。 今後いかなる試練に直面したとしても 乗り越えられる自信が十分あります。 そういう心の準備ができました。


B:この治療を初めて行ったのはいつでしたか。 1998年だと思います。 最初は、心理学と気功を融合させて新しい治療を始めました。 こうしてこの道に入りました。


B:先生の授業を受けて、患者は心理的にどのような影響を受けていますか。 多くの人は、性格がより優しくなり、 心を広く持つようになりました。 道徳的に成長し、生きる積極性も強くなります。 現在、社会の様々なプレッシャーに押しつぶされている人が多いですが、 前向きになる勇気を得られます。 また、人の心と魂に成長をもたらしています。 これは、治療を超越した内容です。 かつては、この役割を宗教職能者が担っていました。


B:授業を受けて1日で変化が現れる人がいれば、 1カ月後に初めて変化が現れる人がいます。 その差は何ですか。 心身の両方によるものと思います。 モンゴル医学では、人の体のタイプが7種類あると言われ、 ヒー(気)、シャラ(胆汁)、バダガン(粘液)の バランスによって気質も異なってきます。 もっと重要なのは、主観の能動性、積極性を強めることです。 病気が重ければ重いほど、また他の治療法がないほど効果的です。 なぜなら他に方法がないので、 この方法に心身のすべての力を注ぐからです。 治療法がある人や裕福な人、 社会的地位が高い人ほど効果は出にくいです。 これは心が簡単にリラックスできるかどうかの問題です。 これ以外にも、職業によっても受け入れ方が違ってきます。


B:どのような患者たちを治療してきましたか。 私は、患者が授業を受ける期間中の治癒や改善だけでなく、 授業を受け終えた後の状態を基準とします。 これまでの経験からみると、 この治療は不眠症、便秘、神経性頭痛、不妊、月経痛に特に良いです。 治癒率が90%です。 また、高血圧、冠動脈病の治癒率が70%です。 この中で、高血圧患者の40%の人が薬をやめています。 冠動脈患者については、時間が経ってから再検査します。 私が今担っている国家プロジェクトは、 乾癬、高血圧、不眠症の治療です。 なぜ、この3つを選んだかと言うと、 乾癬は皮膚病で効果が目に見えてわかりやすく、 不眠症、高血圧は現代病だからです。 世界的に見ても私の治療法は、 難病の治療に非常に効果的と思います。 また、うつ病にも効果的です。 鬱は心理療法では治せず、精神科が担う病気ですが、 そこでは向精神薬を使います。 しかし、私たちは心理療法で鬱を治しています。


B:患者には、入院を勧めていますか。 そうですね。 実を言うと私の治療は、病院ではなく保養所が一番良いですね。 病院に入院すると、自ずと「患者」というレッテルを貼り、 病気だと思い込んでしまいます。 また、他人の苦しみを見て精神的なストレスを感じます。 ですが保養所では、本当の意味で養生できると思います。 皆と一緒に遊んだり、踊ったり、食事を作ったり、 栽培したりして愉しむことができます。 これらの行為は、すべて心理学的な治療です。 患者に安らぎを与える環境がより治療に役立つと思っています。


B:先ほど気功の神秘主義的な内容について 解釈できないとおっしゃられていましたが、 霊的なものや前世についてどういう捉え方をされていますか。 人にまつわる、すべての情報がエネルギーとして存在しています。 たとえば携帯電話はアナログ式でしたが、今はデジタル式です。 音声信号を数値化してどこかに保存しています。 私の番号にかけると私がそれを受信しますが、 他の人は受けとることができません。 同じように、生きている私たちはエネルギーの情報を持っています。 死後、この情報が宇宙のどこかに保存されます。 それを見るパスワードを持っていれば、見ることができます。 私が作った映像を1000年後、 DVDプレイヤーに入れると見ることができます。 ただ、現在の映像はDVDという目に見える媒体を通じておりますが、 目に見えない媒体を通じて情報を保存することが十分あり得ます。 前世も同じですね。 催眠学に前世の内容があります。 しかし、多くのことを受講生たちに語ってはいけません。 霊魂がないとは言えません。 しかし、あるとしたら迷信的な理解をしてはいけないと思います。 霊魂は生きている時はエネルギーですが、 死後は全宇宙のエネルギーの1つになります。 来世では、このエネルギーが犬や猫にも入るかもしれません。 また、私たちの体に犬や猫のエネルギーが入っているかもしれません。 宇宙のエネルギーの再構成ということです。 霊魂は、物質的なエネルギーなのです。 虚構ではありません。


B:生活のリズムが速い現代人は、 健康のために具体的に日常生活でどのようにしたらよいですか。 物事を積極的に捉えることが大事です。 食生活と日々の行いを、心を持って調整することが重要です。 日本人は、この意味で非常に良くできていると思います。 新鮮な食材、控えめな味、 腹八分にすることが習慣となっています。 日本人が直面している問題は、 生活のリズムが速く、ストレスが多いことです。 社会全体がそうなっている以上、 個人がそれを変えることは困難です。 リズムに合わせないと遅れてしまいます。 そこで、どうすればよいかというと、 積極的な心を持ってこのリズムに合わせて生きることです。 現代人は、強く生きることを生の軸としているうちに、 泣くことすらできなくなりました。 つまり感動する心が失われています。 私の治療はとてもシンプルな方法で、 人の心を和らげ、感動させるので、 次第に溜まっていたストレス、負のエネルギーが発散されます。 人間としての原点に引き戻すのです。 それによって、人々が持っている緊張や矛盾、不安が自然に消えます。 モンゴル医学で健康とは、 肉体の相対的なバランスを意味しています。 人間の、ヒー(気)、シャラ(胆汁)、バダガン(粘液)の バランスがとれている場合は健康で、 そうでないと健康と言えません。 それによって、熱い病気、冷たい病気、 気の病気などにかかります。 人間にとって、肉体的健康だけでは健康と言えません。 宗教信仰に基づいた思考と理解、 心の美しさがあってこそ健康と言えます。 人生観、道徳観、価値観が正しいことです。 体が健康でも、他者や社会に害を与える、 たとえばテロや戦争は健康な行為と言えません。 これは人類の道徳を犯した行為です。 すべて利益のためです。 平和を真に理解できれば、戦争をやめることができます。 水の結晶と言葉の関係に注目する江本勝氏の研究のように、 人間が利己的になればなるほど、体の中の水は悪くなります。 それによって、人間の生きる空気のエネルギーが汚されます。 そして、宇宙のエネルギーのバランスが失われます。 私は著作で、医学の新概念について触れています。 一つ目は、生物維持医学です。 ここで言う生物とは、肉体を指しています。 二つ目は、心の医学です。 心の健康と心理の健康は違います。 心理と言えば喜ぶときに喜び、悲しむときに悲しみます。 思考、思想、意識を含みます。 心と言えば、その中に道徳の内容が含まれています。 三つ目は、社会医学です。 これは、人間と社会との関係を意味します。 人間が反社会的な行動をし、社会から離れると人間ではなく、 家畜同様になります。 また、社会環境が人の健康に影響を与えます。 四つ目は、生態医学です。 自然環境を破壊すると、自然の罰を受けます。 大学では先生に、 「モンゴル医学は、モンゴル人が自然や病気と 闘ってきた経験から生まれた」 と教えられましたが、それは間違っていると思います。 なぜならモンゴル人は自然と闘ってきたわけではなく、 自然を崇拝し、愛し、融合してきたのです。 自然と闘うことは誰にもできません。 現在、人間が自然環境を壊しているのはやはり利益のためです。 もし、自己利益を捨てたら、人間と自然の関係はバランスが取れ、 人類全体の健康が保たれると思います。 この内容は、私が言っても止められません。 個人が国の利益を考えると利己主義になります。 これによって、また紛争が起き、 さらに戦争にまで発展します。 戦争になれば次は核兵器を作ります。 これらの内容は、私の医学の新概念に含まれています。


B:モンゴル医学の心理療法と現代医学の心理療法はどう違いますか。 基本的な違いがあります。 心身疾病という概念は1834年にドイツの精神科医で発表しました。 すなわち病というのは、 身体と心の2つが関わっていることを指摘しましたが、 さらに発展させることはできませんでした。 1970年代に日本の研究者たちは、 心身医学概念をシステム化して、一つの学科にしました。 実に日本は中国医学、日本でいう漢方医学の影響を大きく受けた上、 心身医学概念の中に、西洋と東洋両方の要素が含まれています。 中国医学とモンゴル医学の本質は心身医学です。 2000年前に書かれた『皇帝内経』にすでに、 システム化された心理学の理論ができていました。 モンゴル人にとって1つ遺憾なことは、 古代において文字を持っていなかったので、 モンゴル医学の多くの知識を書き留められなかったことです。 一方、ほかの文字で記録されたモンゴル医学の内容は多くあり、 伝承されています。 人類の心理学の発祥地は中国と言われています。 それは、『皇帝内経』に基づいていると思います。 その内容は素晴らしく、完全な形で保存されてきました。 心理学は、宗教信仰と密接な関係があります。 古代中国で最初の信仰として、 シャマニズムの信仰だけがあったとは言えませんが、 多くの信仰の中の1つだったと私は確信しています。 今日のシャマニズムからいうと、催眠療法と言えます。 神秘主義的な色合いがありますが、 それは人々を一挙に怯えさせる機能を果たしているからです。 それによって、人の不安の心を引き寄せ、集中させることができ、 音楽や歌、踊りの中で癒しを与えます。 モンゴル医学の心理療法は、シャマニズムに由来しています。 中国医学やチベット医学は、モンゴル医学に影響を与えました。 3つの民族の文化を融合させたのは、モンゴル医学の長所です。 はるか昔から心理療法を採用していたモンゴル医学は、 心理療法において、特に優れています。 モンゴルでは、シャマンそのものが心理療法を行ってきました。 それは心理学上、催眠療法のカテゴリーに入ります。 現代の西洋医学では、 医学は医学、心理療法は心理療法です。 西洋医学の理論は、分子、細胞、基因などを分けて考え、 ミクロ的な視点で捉えます。 モンゴル医学は、マクロ的に捉えます。 人間の体全体は、上下、左右、 そして各部位がつながっており、一体です。 そして身体と心が一体、人間と社会が一体、 人間と自然が一体、人間と宇宙が一体です。 たとえて言うなら、天気が変わると 関節炎の人は手足が痛くなります。 それは、宇宙の空間と時間に関係があるからです。 人間の体は小宇宙です。 大宇宙である自然と小宇宙である人間は、 互いにつながっています。 モンゴル医学の心理学は、現代医学の心理学でいうところの 心の問題を治療するだけでなく、肉体的な病気をも治療します。 なぜなら心身は一体で、互いに影響し合っているからです。 この理論で行っているモンゴル医学心理学は、 がんや乾癬を完治させています。 鬱の治療においても、現代医療よりも優れています。 単なる心理療法を行っているだけではなく、 心の障害を治療するため、 心の奥底から治療する必要があります。 それによって真に心がひらき、悟り、 心が広くなって、治療効果が現われます。


B:医者として、患者にどのような態度で接しますか。 心理療法師になる条件とは何ですか。 モンゴル医学から言いますと、 それは病気を治療しているというより、 人間という、病気の環境を治療しています。 病気の治療は重要ですが、人間を治療することが最も重要です。 まず、心から始めます。 その際、患者を尊敬することが大事です。 それによって、患者の心理が自然に変化します。 かつての悩み、苦しみ、悔みから解放され、 安心感を得て、自信と希望を持つようになります。 西洋医学は知識が豊富ですが、モンゴル医学は知恵が豊富です。 たとえるなら、蠅と蚊をなくすために、 殺虫剤などいろいろな方法を用います。 しかし私は、ほうきと塵取りだけで蠅と蚊を駆除することができます。 これは知恵です。 医者が、いつ本当に良い医者になれたといえるかと言うと、 患者から仏に見られたときです。 ですので、モンゴル人は良い医者をいつも「仏医者」と言います。 患者が医者を仏にみなすと、 その医者の治療が本当に効くのです。 それには、患者を尊敬し患者の身になって接することです。 それによって患者の心が動き、医者を尊敬し、 医者を仏の心を持った人間だと思います。 その時、患者は仏のように医者を尊敬するだけでなく、 医者のすべてを呪力、すなわち聖なる治療力とみなします。 たとえ患者に向かって息を吹きかけるだけでも、 自分を治療してくれたと信じます。 年配の患者が私に 「先生、私の目に息を吹きかけてもらいますか?」 と頼んできます。 これは文化です。 相手が心から私を尊敬し、 自分の病気を治療できると信じていないなら、 そんなことはしないと思います。 後輩からは、 「どのようにしたら仏医者になれますか?」 とよく訊かれます。 1つは、文化知識を学ぶことです。 知識がないといけません。 次は、仕事に励み、努力を惜しみません。 そして最も重要なことは、 患者に対する全身全霊を込めたサービス精神です。 これがあれば、患者が医者の温もりと誠意を感じとることができ、 仏医者だと考えます。 心理療法師については、まだ未発表ですが本の中に書きました。 一般的な心理療法師は均一化され、 あまりに偏っており、形に拘り、単純です。 それに比べて、私の心理療法は、 自然で、ホリスティックで、均一化できません。 良い心理療法師になるには、 心理療法とモンゴル伝統医学の知識が欠かせません。 これを知らずには心身一体療法において、 心と体の互いに影響し合う微妙な関係を 理解することができないでしょう。 そして豊富な人生経験が要求されます。 三つ目は、思考が鋭敏であることです。 物事の全体を考慮でき、 決断力、臨機応変能力が必要とされます。 心理療法師は、急な出来事に直面することがあります。 その時に、鋭い観察力がないといけません。 四つ目は心理療法は、芸術です。 生きた方法を用いるため、 非常に活力的で、心が温まる療法です。 雰囲気が治療効果となります。 大切なことは、患者の心の壁を破ることです。 心理的に問題がある人は、ある意味で心の壁があり、 簡単には共鳴できず、心は変わりません。 この障害を取り除くことができれば、 心理療法が半分成功したと言えます。 私の治療では他の患者が、別の患者の語りや、 私と患者の会話を聞いて頷き、共鳴し、感動し、喜びます。 そして私を心から感心してくれます。 それによって心理的な壁が破られるのです。 そして患者の積極性、能動性が高められ、 医者と患者とが感情の共鳴の境地に達します。 心が互いに解け合い、本当にひとつになれば奇跡が起こります。 医者を親や兄弟のように疑うことがなく、 安心感と信頼感が溢れます。 それが自己治癒力へと変化します。


B:国は先生の治療法を支持していますか。 国の政策は好ましく、私を支持してくれています。 治療を始めた最初の頃は、 人々の新しい物事を受け入れにくいことにより、 いろいろと苦労しましたが、 現在は内モンゴル国際モンゴル医学病院の一部として 治療活動に活躍し、 きちんとした資格のある医者と看護士グループを支配されているので、 自信もって治療を行うことができています。


B:家族はどうあるべきですか。 家族が人間の健康に与える影響を教えてください。 家族環境は人の健康に大きな影響を与えます。 幸せな家庭は健康に良いです。 家族が患者を支持することが、 患者にとって最も重要なことです。 どんなに優れた医療条件が整っていても、 家に帰ると気持ちが暗くなり、 喧嘩となるような環境では健康は保たれません。 良い気持ちがなければ、免疫力が低下します。


B:先生の今後の希望は何ですか。 希望はたくさんあります(笑)。 私のやっていることは、 単なる医療プロジェクトだけでなく、 貧困を助けるプロジェクト、社会プロジェクト、 ヒューマニズム教育プロジェクトなど多くのプロジェクトです。 今後はもっとたくさんの患者を治したいです。 また、この治療がもっと多くの人々や国々に受け入れられ、 その恩恵を受けることを心より期待しています。


B:どうもありがとうございました。




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