フローの中へ

- interview with 天外伺朗 -

物事に没入し、すべてプラスにまわっている、
ノリに乗っている、などの経験を〈フロー(Flow)〉という。
〈その〉状態は自然に起こるのだろうか。
意図的につかまえることは可能なのか。
〈フロー〉の中に入るために、私たちが気づくべきこととは何か。
今回は、常に〈フロー〉を視野に入れた人材育成に取り組む、
天外伺朗氏にお話を伺った。


天外伺朗 Shiroh Tenge


1942年、兵庫県生まれ。元ソニー(株)上席常務、工学博士、
作家東京工業大学電子工学科を経て、
ソニー研究所で先端技術の研究、開発に携わり、
コンパクトディスクや犬型ロボット「AIBO」など数々の開発を成功させる。
2006年退任後は、創業期のソニーの「燃える集団」状態を
「フロー理論」で読み解き、新しい企業経営論を樹立、
それを伝えるための経営塾、天外塾を創立する。
97年に立ち上げた「ホロトロピック・ネットワーク」では、
瞑想や断食などの指導を通じて、「意識の成長・進化」の支援や
「病院をなくす」ための医療改革活動も行う。
著書『「超能力」と「気」の謎に挑む』『マネジメント革命』
『ここまで来た「あの世」の科学』『宇宙の根っこにつながる瞑想法』
『運命の法則』など多数。また、近年、出版した
『「生きる力」の強い子を育てる』では
フロー理念をふまえた教育を綴り、大きな影響を与えている。

天外塾:
http://www.officejk.jp/








B:天外先生の本は、 人間の心理的な問題や恐怖心や不安など 潜在意識や目にみえないものを、 よく見ることの大切さを書かれていると思います。 中学生くらいの時に読んだ『第三の眼』から 精神世界に興味をもたれたそうですが、 そもそも、こういったことに 関心をもたれたきっかけを教えていただけますか? たくさん本を書いてきましたが、 そのきっかけはコンパクトディスク(以下、CD)開発の裏話や、 デジタルオーディオの謎を解くといったあたりを ペンネームで書いたことですね。 会社にばれてしまってからは、 開発の裏話だと会社にマズイだろうと、 今まで全く別なものと捉えられてきた サイエンスと宗教の統合といったところから書き始めました。 その頃、筑波大学とフランスの国営放送ジョイントの 「科学技術と精神世界」というシンポジウムがあったんですね。 1984年の11月11日だったかな、 真面目な会議で、物理学者や天文学者、宗教家、哲学者、 いろいろな人たちが来た。 物理学者デヴィッド・ボームが ホログラフィック宇宙理論を発表していて、 シンポジウムに呼ぼうとしたけど呼べなかった。 それなら彼をビデオで参加させようと ソニーに依頼が来たんですね。 その関係で、社長の井深さんがこの会議に巻き込まれたんです。 会議の内容はきちっと厚い本五冊にまとめられて、 井深さんが感銘を受けて、 「お前これを読め」とその五冊を渡された。 それがそもそものはしりで、 サイエンスから入っているわけです。 CDの本を書いて怒られて、 次に書いたのが『「超能力」と「気」の謎に挑む』。 あと『ここまで来た「あの世」の科学』も書きまして、 CDの本も含めて最初4冊出して3冊ベストセラーになったんですね。 これはこたえられないわけですよ、印税も入ってくるしね(笑)。 そこから本を書くことにはまっていったという感じです。 だから、経営に入るかなり以前に サイエンスと宗教の間にあるものや、 深層心理学をずっと調べてきたわけです。


B:実際に開発に携わっていた時から、 共時性やフローなど、 見えない力に気づくような経験をされたわけですね。 見えない力に気づくという表現は 僕はちょっと引っかかります。 どう言ったらいいんだろう。 基本的には、デヴィッド・ボームや ユングが言っていることを統合して書いているわけです。 ホログラフィック宇宙モデルの理論は、 目に見える物質的な宇宙の背後には、 目に見えないもうひとつの宇宙があるよという仮説。 彼はインプリケート・オーダー(内在秩序)と言葉を使い、 いろんな翻訳がありますが、 「暗在系」という言葉が一番よく使われています。 量子力学の不可解な現象を説明するときには、 そう仮定したほうが上手く説明できるからですね。 それと、ユングの集合的無意識が、 僕は同じことを言っていると気づきました。 これはとんでもない話なわけです。 片方は厳密な数学と実験に基づく物理学から出てきている考え方で、 片方は、精神病患者の観察から出てきた。 その2つが同じことを言っているなんていうのは常識ではありえない。 でも、どうもそうらしい、 ということで本を書いていった訳なんです。 僕は、そのデヴィッド・ボームが言った「暗在系」を 「あの世」と言い切り、世の中を大変惑わせてきた。


B:「あの世」という言葉からは、 死後の世界というイメージがわいてきます。 僕の定義する「あの世」は4つ条件があります。 「1.非局所的である」「2.時間・空間が定義できない」 「3.因果律が成立しない」「4.観測不可能」。 非局所的というのは、 例えば、東京で亡くなった人の幽霊が ニューヨークで出てきても皆あんまりびっくりしないでしょ?  場所というものがない。 でも物理学では時間と空間は同じに捉えますから、 空間が非局所的だと、時間も定義できなくなるんです。 どういうことかというと、 過去も現在も未来も 「あの世」では一緒になっているはずだ、ということ。 それから、量子の世界では 因果律は成立していないんですよね。 たとえば、豆を煮るとスープになるでしょ。 素粒子はスープ状(波動=量子状態)になって存在している。 豆を観測した途端に、そこに豆の形が (粒子として)浮き上がって見えてくる現象があるわけです。 観測問題といいます。 従って電子を飛ばした時に、 どこかに観測装置を置くことによって スープが粒子に変わるわけ。 スープが観測装置に達した時に豆に変わるのなら、 そこで何らかの干渉が起きたことになるけど、 はるか彼方に観測装置があるだけで、 最初から豆になってしまう。 原因があって結果があるという現象と違うんだよね。 今までのサイエンスは全部因果律に基づいている、 ところが、量子力学は因果律が成立しなくなっている。 したがって、ユングは自分の患者でノーベル賞物理学者のパウリと一緒に、 因果律に基づく今の科学を超えて 「共時律(共時性の法則)」に基づく 新しいサイエンスを確立しなければいけない、と言っています。 それから100年たったけれど、 まだ共時律に基づくサイエンスは確立されていない。 ユングの言う共時性というのは、 たまたま誰かの噂をしていたら、 その人から電話がかかってきた、 などの「意味のある偶然の一致」を言います。


B:話は変わりますが、 職場や学校で心のスランプになる人が多かったり、 リーダーが親の役割をしたり、先生の役割をしたり、 色々なことを求められていると思うのですが、 天外先生のフロー経営のように、精神性とか、 宗教性といったものを取り入れた ビジネスはあまり浸透していないように思います。 やろうと思っても出来ません(笑)。 2003年4月に、ソニーの業績が急激に落ちて、 つられて日本中の株価が暴落した ソニーショックという現象がありました。 実はその2年位前からソニー内部がもの凄くおかしくなって、 うつ病が増えてきて大変な状況になっていました。 僕自身は、フローに乗ってロボット開発をやっていたので 会社の状況に気がついていなかった。 最初に知ったのは、人事部のカウンセラーからです。 「ソニーがもの凄くおかしくなっている。 このままいくと潰れるので、なんとかしたい」と。 どうも会長の出井さんあたりが全部の震源地のようだから 彼のカウンセリングをやらないとこの会社はだめになる、 と言うんですね。 でも、それはやろうとしても、 日の出の勢いの会長さんだから 出来そうもないからどうしたらいいだろうと考えて、 それじゃあ知人の河合隼雄さん(故人、当時は文化庁長官)と 出井さんを対談させようとなった。 河合さんによく言い含めといて、 対談しながらカウンセリングをしちゃおうという 凄い作戦をたてました(笑)。 ところが、カウンセラーの上には 人事部長や人事担当役員がいて、 なかなかそんな話は通りませんで、 結局河合さんの講演で終わっちゃった。 その2年後にソニーショックが起きました。


B:対談が実現していたら… と思わず想像してしまいました。 僕らは何が起きたかよくわからなかったのね。 ソニーは、なんでこんなに駄目になっちゃったんだろうと。 もの凄い勢いで成長してきた会社で、 エンジニアはみんな生き生きと目を輝かせて仕事をしている、 そういう状況で僕はずっと 1964年から約39年間やってきたわけですよね。 ところが、それが全く破壊されている。 原因を一生懸命調べていたら、 チクセントミハイのフロー理論に出会い 「これで大体読み解ける」とわかったんです。 彼の本を全部取り寄せて読んだ。 そうしたところに、アメリカのモンタレーで開催する TED(Technology Entertainment Design)というシンポジウムがあって、 それに出るよう出井会長のご司令が来た。 僕は忙しいのでずっと断っていたんだけど、 プログラムを見たらチクセントミハイが講演するとある。 こういうのを共時性というのですね。 ちょうどその時『運命の法則』という本を書いていて、 第1章に「共時性を感じたらそれに乗っていけ」と書いたばかりだった。 しかも、単に乗るだけじゃなく、 もう一歩踏み込まないといけない。 そこで、講演の前に彼と昼飯を食べようと なんとかコンタクト取って、天ぷらを食べることになりました。 でも、だんだん天ぷらが喉を通らなくなってきた。 何故かというと、僕はずっとCD、AIBO、NEWSなんかの開発をやってきて、 毎回フローに入っていた。 フローに入ると運がよくなるのですね。 どうしても必要な人に絶妙なタイミングで出会ったりする。 開発当時は、フローという言葉は知らなかったけれど、 チクセントミハイに会った時は フローだということは分かっていたので、 「フローに入ると運が良くなる」と 提唱者の彼の口から言わせようという ヨコシマな気持ちで行っているわけ。 それがその本のハイライトになるはずだった。 だからあの手この手でそれに迫るわけですよね、 でも言わないんだよ(笑)。 「確かにフローに入るとマインドがオープンになるから、 運が良くなったような感じがするかもね」 とごまかされちゃう。 さらには 「私は学者だから合理的な範囲内でしか発言はできない。 フローに入ると運が良くなるなんてことを言うと学者生命が危なくなる」 なんて言ってね。 こりゃもう駄目かと思ってだんだん天ぷらが不味くなってきた。 そしたら突然 「私がここであなたに会うのは物凄い共時性だ」って言い出した。 なんだ合理的な範囲内でしか喋れないって言ったじゃないか、 共時性なんて全く合理的じゃないぞ! って思った(笑)。 彼は、今日の講演の最初のスライドに ソニーの設立趣意書を用意していて、 その直前にソニーの上席常務に会うっていうのは 物凄い共時性だと言ったんです。


B:共時性の連鎖ですね。 講演が始まって、僕は何千回も見てきた、 設立趣意書の英語バージョンが映し出されました。 「自由闊達にして愉快なる理想工場の建設」。 これがフローに入るコツですよと彼は言った。 その時コンチキショーって思ったよね。 というのは、ソニーが駄目になった原因は、 当時の僕はハッキリ分かっていたから。 出井さんはアメリカ流の合理主義経営の権化である ジャック・ウェルチを追いかけちゃったのね。 成果主義だったり、とにかく色々なことを導入した。 成果主義というのは、外から与える報酬で動機づける経営です。 外発的動機という言葉をチクセントミハイは使っています。 対してフローに入るためには 内発的動機に基づいて行動しなくてはいけない。 何ら外から報酬は得られないけれども 自分がワクワクするとか、 そういう内側から出てきた動機というのに基づいて行動したときに 初めてフローに入るということが「フロー理論」で明らかになった。 外発的動機が提示されると内発的動機は引っ込んじゃう。 フロー経営していた会社がアメリカ的経営をやって 外から餌をぶら下げられると誰もフローに入れなくなる。 『運命の法則』は、後半は経営の話になり、 それを読んだ日本経営合理化協会の人から セミナーの依頼をうけて天外塾が始まりました。 そのあと、日本能率協会とかアルマックの主催でも 天外塾を開きました。 サッカー監督の岡田武史も天外塾の生徒です。 当時の岡田さんは、 管理型のマネジメントが得意で、成果も出ていた。 でも、選手は監督の言うことばかり聞いていて、 J1で優勝するくらいなら管理型でなんとかいけるけれども、 世界で通用するためには、 もっとみんながイキイキと自分で考えて 行動するようなサッカーをしないと、 もう一歩上にいけないというのが分かっていたんだよね。 彼は、中国拳法や座禅や気功といろいろ探っていて、 たまたま天外塾のフロー経営を聞いて来たんです。 フローというのはスポーツの世界でいうゾーンですから スポーツをやっている人にはわかりやすいんですね。 僕はその後、創業期のソニーの経営を 人間性経営学として体系化していきました。 勿論チクセントミハイのフロー理論や 深層心理学とトランスパーソナル心理学あたりが中心的ですが、 もうひとつガルウェイのインナーワークもベースにしています。 ガルウェイは元々テニスコーチで、 テニスコーチの方法論から色々なことに気がつき、 彼の考えが今のコーチングの元祖です。 有名なビデオがあります。 生まれて初めてテニスをするおばちゃんにテニスを教えるんです。 普通の教えかたは一切しないで、 コーチ自らボールを打つわけですよ。 おばちゃんは、ボールがバウンドした時に「バウンス」、 ラケットに当たったら「ヒット」と言うだけです。 「バウンス」「ヒット」「バウンス」「ヒット」 とずっと言ってるんですね。 すると段々、彼女の身体が動いてくるので、 ラケットを持たせて 「はい、打ってごらん」と言うと打てちゃう。 普通だったら、何週間もかかるようなレベルに、 30分で到達するわけです。 そういう教え方をガルウェイは開発して、 他のスポーツやオーケストラでも 同じ理論が通用することを証明した。 その後、AT&Tが、民営化する時に経営を依頼して、 見事上手くいったんですよね。 コーチングの始まりです。 そういうのを全部ひっくるめて、インナーワークといいます。 要するに、表から一切の指示、命令をしないで、 内側に直接インプットするというやり方ですよね。 岡田監督はそれをものすごく上手にインプリメントした。 紆余曲折あったけど、なるべく指示、命令しないで、 直接インプットした。 例えば、「シンプルにボールをつなぐ」事を 彼はうたい文句にしていたんだけど、 それはドリブルしないということではないんだよね。 でもみんな、すぐパスしちゃう。 でも、「ドリブルできる時はドリブルしろ」というと、 指示、命令になるし新皮質に入るし、 0.1秒くらい遅れるんです。 スポーツの世界では致命的です。 なんとか新皮質に入らないで、 直接古い脳にインプットするにはどうしたらよいか?  ここが岡田監督の知恵のあるところなんだけども、 みんなでビデオを見ている時に、 誰かが良いドリブルをするシーンで、 「お、良いドリブルだな」と小さな声でつぶやく(笑)。 これは古い皮質に直接入るんだよね。 そういう工夫をたくさんやって 南アフリカのW杯では、ベスト16に入った。 みんなフローに入っていたんです。 今年のブラジル大会より はるかに劣る選手層だったから、これは奇跡です。 それだけすごいことのベースは天外塾にあるわけです。(一同笑)


B:チーム全体がフローに入るには リーダーのさりげないけれど的確な導きが必要なんですね。 最近、ネッツトヨタ南国の横田英毅さんの本と、 未来工業の山田昭男さんの本を書きました。 彼らは、そうとは知らずにフロー経営をはじめちゃった方々です。 そういう方々を天外塾では、講師としてお呼びして、 最新のフロー経営を塾生にお伝えしています。 井深さんの話になると、 どうしても実例が古くなっちゃうし、 最近のソニーはフロー経営じゃないからね。 横田さんの本は、『教えないから人が育つ』。 これは、僕なりの解説も加えてます。 よく売れています。 今年出たのが、 『日本一労働時間が短い“超ホワイト企業”は利益率業界一! 山田昭男のリーダー学』。 山田さんは、もちろん指示、命令は一切しない。 「ほうれんそう」(報告、連絡、相談)すると首です。 上から下への指示、命令も禁止。 おまけに一切のチェックをしない。 たとえば現場が、材料の注文する時には、 「お前らはどうせ泥棒だろ。 だから、材料はせいぜい高く買え。 そして賄賂をもらえ」というわけですよ。 食堂では半分は会社補助、半分は自分もちで自己申告するので、 今月は10回食べたというと、給料からさっぴかれるんです。 彼は食券を印刷するとお金がかかるからやらない と言っているけど本当にドケチ経営なんですよ(笑)。


B:社員を信頼している性善説ではないのですか? それが全然性善説じゃないんですよ。 食堂で「どうせお前らは泥棒だろ。せいぜいごまかせよ。 けれど10回食ったのを3回と申請するとばれるぞ、 7回か8回にとどめておけばばれないだろ」と言うんです。 でも社員の申請と給食会社の報告を照らし合わせると これが毎月ぴったり合う。 でも購買や他はチェックしないから、 ごまかしているかどうかわからない。 「これはどういうことだろうね」と塾生になげかけたら 経営学者がいて説明してくれました。 「ごまかせというと、人はごまかさなくなる。 ごまかすなとか、ちゃんと申請しろとか、 あるいは、チェックをすると、人はごまかすと。 それは、NLPという学問がクリアーにしてますよ」と。 わかりやすい例でいうと、 勉強しろと言えば人は勉強しなくなる。 勉強しろというメッセージは大脳新皮質に入ります。 行動は古い脳が決めますから、 大脳新皮質にいくら情報が入っても 行動にはつながりません。 勉強しろというメッセージには、その前提条件がある。 どういう前提条件かというと、 このメッセージは、勉強をしてない人に発せられるわけ。 すると、何が起きるか。 その前提条件というのは、古い脳に直接入り、 人はその通りに行動します。 だから勉強しろという表のメッセージの裏に、 あなたは勉強していない人ですね、 というメッセージが隠されていて、 その裏のメッセージが古い脳に直接入るから、 その人はそのメッセージ通りに勉強しなくなるわけです。 これが、フロー経営の一番のベースだよね。 指示、命令をすると、それは大脳新皮質に入るけども、 人は、それと逆の行動をするモチベーションが 内側で生まれてしまうというわけですよ。 だから、指示、命令をしないで、 そういう行動に導くにはどうしたら良いかということを、 横田さんなり、山田さんなり、井深さんなりは ものすごい工夫をしてきている訳です。 それは今、世の中にある経営学と180度違うやり方なんですね。


B:すごいですね! 子どもの教育の本も最近ではだされていて、 その中でも一切叱ったりせずに、 徹底的に遊ばせることが最も大切だと言われています。 はい。 それも同じ原理が教育にもいえるわけです。 教育もフローというのが 一番キーになるということが分かってきて、 教育の本を書いたわけです。 教育をやろうと思ったわけじゃなく、 ガルウェイの話を書いていたわけですよ。 政治家や企業のトップは とんでもない間違いがもの凄く多い。 それは基本的に古い脳が活性しないまま 新皮質だけで物事を論理的に考えているからで、 今の社会の病理的な現象というのは 大体それで全部説明できる。 それを「大脳新皮質シンドローム」という名前をつけて、 その本を書こうとしてたわけです。 偉い人達は、みんな大脳新皮質を鍛える 教育しかやっていないから。 それで、教育界に対する7つの提言まで書いて、 これは大脳新皮質シンドロームの本じゃなくなってきて、 そこから教育の勉強を始めたんです。


B:天外先生のブログの中で、 経営者やリーダーが頼りないと 社員がしっかりするというのが書かれていて、 ちょっと安心したんですが。(笑) 頼りなさも表面に出しちゃった方が良いよ。 フロー経営に近づけるならね。


B:また話は飛びますが、 シャーマンとよばれるような人は、 力を得る前に目が見えなくなったりとか、 人生が大きく変わってしまうということが あるというのを聞きました。 有名な経営者の方でも死と向き合うような経験を経て、 その後の人生が好転する方もいらっしゃいます。 「死」というのは、どのように理解すればよいのでしょうか? それは、誰にも理解できません。 理解するというのは新皮質だから。 近代文明人は死の恐怖というのを みんな抑圧して生きています。 そのため死の恐怖が無意識レベルで モンスター化しているんですよ。 モンスター化した状態で モンスターに支配された人生を歩んでいます。 これは文明人の98%はそういう人生になっている。 この問題はね、ものすごく深くて これだけで3時間はかかるよ。 だから入っていくのはやめましょう。 天外塾だと卒業生の為のワークの中に 「死の瞑想」というのがあります。 みんなね、死と直面できないまま死んでいくんだよ。 お医者さんで何千人も看取った人は 死と直面できないまま看取っているわけ。 死と直面するというのは簡単じゃありません。


B:最後に、天外先生の思われる 幸せな世の中というのはどういうものなのでしょうか? 「幸せな社会」という言葉の中には、 理想社会というニュアンスがあるわけ。 次の社会というとみんな理想社会を夢見てしまう。 そんな社会は未来永劫来ません。 理想社会を夢見た人は大体全部駄目になる。 よくコミュニティを作る人がいるでしょう。 この世の中エゴが強すぎると思って、 みんなコミュニティを作る。 僕らの世代だとヒッピーが たくさんのコミュニティを作ったわけだけど、 みんな破綻している。 エゴを否定した社会はエゴから破綻する。 理想社会なんてことをいう人は、 自分はいい人だから、 自分と同じような人が集まると 理想社会が出来ると思うけど、 これはとんでもない間違いで、 単に自分の中のエゴに気がついていないだけ。 だから理想社会なんて目指すのはやめましょう。 それは破綻するだけです。 この話もね3時間くらいかかるよ(笑)。


B:どうもありがとうございました。



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