meeting with remarkable people [086]
ニコラウス・コペルニクス
1473-1543


人と人をつなぐものは何であろうか。
直に会わずとも大いなる影響を受け、
人生が変わるほどの関わりは稀なことだろうか。
ひとりの人間の思想が持ち得る影響力ははかり知れない。
コペルニクスの唱えた地動説はまさにそのようなものだった。
月や太陽が、地球の周りを回るという
「地球中心的見地」の「天動説」から、
地球が、太陽の周りを回る「太陽中心的見地」である
「地動説」に転換したコペルニクス。
まったく反対のことを説くときに、
「コペルニクス的転回」と彼の名がついた言葉どおり、
当時の宗教観、天文学的常識を覆す
センセーショナルな理論であった。

しかし、彼の理論は不完全だったため、
完全にするために3人の偉人が大きく関わる。
惑星の位置は地動説を基にしなければ
計算できないと説いた天文学者ヨハネス・ケプラー。
早くから地動説の正しさに注目し、
観測を重ね記したガリレオ。
そして、慣性を定式化することで、
地動説の不完全さと疑問にアイザック・ニュートンが答え、
証明できる学説になった。
すべてコペルニクスの死後のことである。
時代を超えた知のサイクルを繋いだ、
コペルニクスとはどんな人物だったのであろうか。

1473年ポーランドの裕福な家庭に生まれる。
10歳の頃父を亡くし、
母の兄ルカス・ワッツェンローデに育てられる。
伯父のルカスはコペルニクスと彼の兄を偏愛した。
伯父はのちにワーミア司教となり、
コペルニクスの生涯に大きな影響を与える。
18歳で兄とともにポーランド随一の名門クラクフ大学に入学。
学生時代は、天文学の蔵書に人一倍関心を寄せていたようだが、
ルカスの勧めで24歳でイタリアのボローニャ大学に留学し
教会法とローマ法を学ぶ。

大学では、天文学の教授と共に生活をし
「学生というよりも助手として、または観測の証人として」遇された。
28歳の時、医学を学ぶ名目でパドヴァ大学に入学。
1503年、30歳となった彼はフェラーラ大学より
教会法博士の学位を授与されたのち
6年間のイタリア留学を終え帰国。
帰国後は、ワーミア司教区の聖堂参事会員の職に就き
ポーランドを出る事はなかった。
伯父のワッツェンローデ司教に秘書官として仕え、
歴代司教のかかりつけの医師であったばかりではなく、
司教区の医療にも携わる。

1510年司教座のあるフロンボルクへ移る。
この頃から『コメンタリオルス』の執筆を開始。
初めて展開された太陽中心説は本としては出版されなかったが、
クラクフの天文学者たちに草稿のコピーを送った。
関心をそそられた学者たちの手から手へ草稿のコピーが渡り、
天文学者コペルニクスの名前が浸透していく。

参事会員としての職責を果たすことに
時間の多くは費やされたが、
その合間を縫って天体観測と執筆活動に没頭した。
現在でも彼が天体観測をした塔は残り、
観測道具の鉄線が垂らされたままだ。
彼は反射日時計の制作も手がけており、
小さな鏡に反射した日光が城の回廊の長い壁に当たり
1日や1年の太陽の動きがわかるような仕組みになっている。
天文学に長けた彼のことは教皇に知られるほどとなり、
教会の暦の改革が議論になった時、
教皇から意見を懇請されたという。
そして、彼の地動説はローマの上流社会にまで
届くようになっていた。

コペルニクスは生涯でひとりの弟子を受け入れている。
66歳で出会った若き数学者
ゲオルグ・ヨアヒム・レティクスだ。
人生で一度だけ、コペルニクスが心を開いた人物といわれるほどで、
著作『天球の回転について』は、
レティクスが彼を説き伏せて原稿を出版することになったという。
コペルニクスの死後、
手書き原稿の原本はレティクスのもとに送られ、
一時期行方をくらましたが
現在はポーランドのコペルニクスの母校
ヤギェウォ図書館に収められている。

1543年77歳でコペルニクス没。
フロムボルクの司教座教会に埋葬された。
死の床でコペルニクスは
『天球の回転について』の発行前の版を見ることが叶った。
死後出版された本は正に力をもち時代を超えていく。
彼の蔵書に残る数多くの書込みや観測の記録は、
真摯に探究し、命をかけて生きた生身の姿を浮かび上がらせる。
近年、コペルニクスの遺体が発掘され、
初版本がオークションで高値で落札された。
再び、人類と地球レベルで、
〈コペルニクス的転回〉が必要とされているのかもしれない。
それは思いもしない関係性を生み出し、
新しいサイクルを創造するのだろうか。



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